成年後見人 登録サポート

精神上の障害により判断能力が十分でない方が、不利益を被らないように、その方を援助してくれる人を付けてもらう制度です。

成年後見制度の概要

成年後見制度は精神上の障害 (知的障害、精神障害、認知症など)により判断能力が十分でない方が不利益を被らないように家庭裁判所に申立てをして、その方を援助してくれる人を付けてもらう制度です。

たとえば、一人暮らしの老人が悪質な訪問販売員に騙されて高額な商品を買わされてしまうなどといったことを最近よく耳にしますが、こういった場合も成年後見制度を上手に利用することによって被害を防ぐことができる場合があります。

また、成年後見制度は精神上の障害により判断能力が十分でない方の保護を図りつつ自己決定権の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーション(障害のある人も家庭や地域で通常の生活をすることができるような社会を作るという理念)の理念をその趣旨としています。よって、仮に成年後見人が選任されてもスーパーでお肉やお魚を買ったり、お店で洋服や靴を買ったりするような日常生活に必要は範囲の行為は本人が自由にすることができます。

成年後見制度の種類

法定後見制度

すでに判断能力が不十分な人に代わって、法律行為をしたり、被害にあった契約を取り消したりする制度

任意後見制度

今は元気だが、将来、判断能力が不十分になったときに備えておくための制度

法定後見制度

法定後見制度は、後見、保佐、補助の3つに分かれ、本人の精神上の障害の程度によって区別されます。なお、申立全体の約8割が後見で、保佐、補助は圧倒的に少ないです。

後見

ほとんど判断出来ない人を対象としています

精神上の障害(知的障害、精神障害、認知症など)によって判断能力を欠く常況にある者を保護します。大体、常に自分で判断して法律行為をすることはできないという場合です。
家庭裁判所は本人のために成年後見人を選任し、成年後見人は本人の財産に関するすべての法律行為を本人に代わって行うことができます。また、成年後見人または本人は、本人が自ら行った法律行為に関しては日常行為に関するものを除いて取り消すことができます。

保佐

判断能力が著しく不十分な人を対象としています

精神上の障害(知的障害、精神障害、認知症など)によって判断能力が特に不十分な者を保護します。簡単なことであれば自分で判断できるが、法律で定められた一定の重要な事項については援助してもらわないとできないという場合です。
家庭裁判所は本人のために保佐人を選任し、さらに、保佐人に対して当事者が申し立てた特定の法律行為について代理権を与えることができます。
また、保佐人または本人は本人が自ら行った重要な法律行為に関しては取り消すことができます。

補助

判断能力が不十分な人を対象としています

精神上の障害(知的障害、精神障害、認知症など)によって判断能力が不十分な者を保護します。大体のことは自分で判断できるが、難しい事項については援助をしてもらわないとできないという場合です。
家庭裁判所は本人のために補助人を選任し、補助人には当事者が申し立てた特定の法律行為について代理権または同意権(取消権)を与えることができます。

成年後見人の仕事

財産管理と身上監護

成年後見人の仕事には、大きく分けて財産管理と身上監護の2つがありますが、ここでいう身上監護には、現実の介護行為は含まれません。また、食料品や衣料品等を購入するような日常生活に関する行為については、本人が自由におこなうことができます。

なお、本人の居住用不動産を処分するには家庭裁判所の許可が必要となります。ここでいう「処分」は売買だけでなく、賃貸や抵当権の設定等の行為も含まれます。

Point1 財産管理

  • 現金、預貯金、不動産等の管理
  • 収入・支出の管理
  • 有価証券等の金融商品の管理
  • 税務処理(確定申告、納税など)

Point2 身上監護

  • 医療に関する契約
  • 施設への入所契約
  • 介護に関する契約
  • 生活、療養看護に関する契約

就任時の主な仕事

Task1 本人及び関係者との面談

今後の後見事務を遂行していくために、被後見人およびその関係者と面談します。

Task2 財産関係の書類や印鑑の引き渡し

現金、通帳、有価証券、不動産権利証、実印、銀行印、印鑑登録カード等をそれまで管理していた人から受け取ります。

Task3 銀行、保険会社等への届出

書類や印鑑等の引渡しだけでなく、直接、銀行や保険会社等に成年後見人の就任を届け出ます。

Task4 登記事項証明書の入手

成年後見人であることを証明するために、法務局で発行してもらいます。

Task5 財産目録の作成

被後見人の財産を調査し、1ヶ月以内に財産目録を作成し、裁判所に提出します。

Task6 年間支出額の予定

1年間に支出する金額を予定し、収入とのバランスを明らかにします。

家庭裁判所への報告

家庭裁判所は、必要があればいつでも成年後見人に対し、報告を求めることができますが、実務上は年に1回程度の報告で済むことが多いです。 ただし、本人の居住場所が在宅から施設に変わったり、入居先の施設を移る等して、本人の生活環境に変化があった場合や、 重要な財産を処分した場合は、その都度、家庭裁判所へ報告する必要があります。 なお、家庭裁判所からの指示に従わずに、定期的な報告を怠ると、家庭裁判所が成年後見人を解任することがあります。

成年後見制度の手続きの流れ

申立てから審判までの期間は事案にもよりますが、2ヶ月以内で審判に至るのが全体の約8割で、制度開始当初と比べると審理期間は大幅に短縮しています。

Step1 家庭裁判所への申し立て

  • 申立書
  • 申立人の戸籍謄本1通(本人以外が申し立てるとき)
  • 本人の戸籍謄本、戸籍の附票、登記事項証明書、診断書各1通
  • 成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書、登記事項証明書各1通
  • 申立書付票
  • 本人に関する報告書(用意できれば)

注意事項登記事項証明書は、東京法務局が発行する後見開始の審判等を受けていないか、あるいは既に受けているかについての証明書のことです。

注意事項身分証明書は、本籍地の役所が発行する破産宣告を受けていない旨の証明書のことです。

Step2 家庭裁判所の調査官による事実の調査

申立人、本人、成年後見人(保佐人、補助人)候補者が家庭裁判所に呼ばれて事情を聞かれます。

Step3 精神鑑定

実際に精神鑑定がおこなわれるのは稀で、申立て全体の約1割に過ぎません。

注意事項鑑定費用は5~10万円。

Step4 審判

申立書に記載した成年後見人(保佐人、補助人)候補者がそのまま選任されることが多いですが、場合によっては家庭裁判所の判断によって弁護士や司法書士等が選任されることもあります。

Step5 審判の告知と通知

裁判所から審判書謄本をもらいます。

Step6 法定後見開始

法定後見人が業務を開始します。

注意事項東京法務局にその旨が登記されます。